人界魔境の北海道のある地方

右折してからの少しの時間は多分来た距離よりは奥まったとこから抜け出すのだから来た時間より所要時間は要するのではないかという程度の感想しか持ち合わせなかった。僕はその部分を別のSNSでは魔境ではなくては夢幻郷に入ったと書いているが、気持ちは少し冒険家的なしかも車で護られて突き抜けてく快感も併せ持ったそういったいわば楽しく遊びたい気持ちだった。今だからこそ或いはあのエリアは本当は何かをもっと考えた方が良いエリア(それも当たってないかもしれないがという先落ちまであり得るんだが、と思う程度で深い理解には達してない。そもそも今からそこに誰かと出かけてって、多分僕の読み筋をその人に教えたとしても、きっとその人はポカンとしてあるいはそうかも知れないね、でも完全な事は言えないね、と釘を刺しかねない、そういった想いの危うさが伴う確信なのである。そうそれは確信なのだ僕にとっては。あんまりそういう事にはなれてないけど、多分誰かがよく見つけたなと言ってくれる可能性がある、それを言われたら大袈裟に言えばそうだよねそうだよなと手を取り合って喜びだしかねない、何か幻視がやはり人を引きつける根本の衝動を持った事だと確信さすなにかなのだ。仮に僕だけの発見でないにしても、そうした得て勝手な想像は人を喜ばせるものではないだろうか。でも本件発見ささやかな幻視だと思う。証拠なんてなくていい。証拠なんてなくても幻視したことは現実だったんだ。

論より証拠こう

池田弥三郎の本に単に論より証拠というのではなく、それには付け足しがあって「論より証拠、藁人形」というのが正しい?んだと書かれてる。これを単純に思えば、検察とかの立証の趣旨にはそれに沿った証拠が必要だという現在の用法の他に、コレは思念界と現実界とは違うのだと捉える用法も出てくるように思う。呪い殺、というのは何ら証拠を残さぬ犯罪である。江戸時代なんてそれで死んだという因果関係が推定されても頭の中の世界その中身を誰もが得心するように見せる事はできない。でもお前の持っていたこの藁人形は一体何なんだ、動かぬ証拠だと言われれば本人も一般通常持っているものでもないから申し開きはできない。しかも五寸釘が刺さった跡でもあると御用になる。どこか人間には付属品がついて来る物で、頭の中でだけの犯罪は実行行為ではない。必ず対象相手にアタックするにはモノを使うものなんだ。そこら辺お江戸の人達も分かっていた。人権意識ではなんでもないんだろうが思念というものに手を焼いてるとこは現代以上のものあったんだろう。

人界魔境の北海道4

取り敢えずもと来た道を戻るのはしゃくな気分がしてたので元来た道の曲がり角まで戻りそこから先に進んでいく。その先には別なゴルフ場の桂がある。それは知っていた。この先の道にはいつも変だなと思わす道路部分がある。それはその道路部分が桂ゴルフ場の私有地を通るしかないというとこだ。他に代替の道はない。逆方向からの千歳方面から桂に行くのはいい。しかしその先に行く為には桂ゴルフ場の敷地内を通らなくてはならない。どうして公道がないんだろ。今までの道とうってたら私有地、イギリスのフットパスでもあるまいし。桂ゴルフ場でも私有地ゆえ通行はご遠慮下さいと看板を出している。でもそこから引っ返す人は皆無、桂もそれ程強く強く交通ドメマデはしていない。その時もその道を通り、桂ゴルフ場の分岐点まで来た。表示板が見える。左は千歳方面、札幌へ(そこの道は桂にも何度も来たことあるから知っている)右回りはまた36に出る。しかしその道は36から来た道とは別の道である。舗装もされてない細道だった。お腹が満たされなかった腹いせに右回りした。そこが魔境の始まりとは勘付いてなかった。

人界魔境の北海道2

そのイコロの森にはトマティーヤは探してもなかった。多分同じ場所には違う名前のお店があり、その店はゴールデンウィーク中はお弁当しか出さないと書いてあったがラストオーダーの時間はとうに過ぎていた。トマティーヤがないことはその付近の食物の苗とか種とか売ってる一角で尋ね聞いた。グーグルマップにあんな燦然と多くの写真入りで載っているのに呆気ないものだ閉店している。そのイコロの森は立派な建物が立つ、売店もそれなりにスタッフオンリーとかのエリアもあって、苗を育て来た客に売るそれなりに大きな施設場所だった。そこまで着くのに時間もかかり、その途中には右手に大きな湖も見えていた。道はでも細くて開発感が顕著にあった。そんなイコロの森とかは知らないが、この道は知っている。ブルックスというゴルフ場には何度か来たことがあった。最初のときはまだこのゴルフ場はJAL系列で売り出してた。文字通り会員権を当時高値で売っていたのだ。だからバブルが崩れかけた1990年代の後半にはこの一帯は開発されたのだろう。そのゴルフ場ばかりではない。道は挟んで向かいにもゴルフ場ができた。そっちの方はその後何度か名称を変えていた。ブルックスもその近辺のゴルフ場も悪いゴルフ場ではない。名門ではないがそれなりに凝っている。そうしたゴルフ場の聖地的なものがそこにはあるのだけど、なんか行くたびに林やもりの中にぽっかりと出来たゴルフ場、アクセスが心配なゴルフ場〜こんなとこにゴルフ場があるのとの心配、そんなエリアだった。イコロの森が出来たのがそれらのゴルフ場とどんな前後関係なのかは分からない。そもそもこのエリアに誰がイットウ最初に目をつけたのだろう?国道から入り込んだこんな場所に、工事だって費用が余計かかっただろう、なんせあんな細い道だもの、そんな気にさせる一角だった。イコロが森では仕方なく溜まっていたお小便をして、さてこの後どこ行って昼飯喰う?と考えた。

人界魔境の北海道

植苗地区というのが北海道の千歳苫小牧エリアにある。何が名前の起源かは同じ北海道住民でも知らない。農業の何かなんだろな。そこの一角のゴルフ場二ドムでゴルフした帰りゴルフ場のランチは高いから、近くを見たらトマティーヤとか高評価のレストランがあるのでそこでランチと高速通らず下の36号を通っていった。二ドムからは一旦36に出て少し行き又高速の方に行き直す。そこに行くのは違うゴルフ場への道でもある。ブルックスというそのゴルフ場の先のカーナビに従った場所にはイコロの森というエリア施設があった。初めての場所だ。

キサク(1)

「おじさんこれ払ってよ」、少女が押し付けたのは一枚のガス代の払込用紙。「先月は寒かったから結構かかったよ」などとおっかさんのやうに言い、「おじさんなら大丈夫わかってる」と柔らかくごまかした。何度か市バスの待合いで顔を合わせた程度、なんか遠く見てるやうな時もあった。狙ってたのかもしれない。イヤ狙ってたのは自分の方だ。少女は器量良しだった。スラッとしてた。取りあえずお金を用意した。なんかのきっかけで他人と知り合う、その他人が命がけの勝負をしてくる。女は猫だから警戒心が強い。だから珍しい。できることはお金を用意すること、それくらいしかない。善意の受け皿になることだ。しかしその払込用紙を受け取った後、少しの間その少女とは顔を見合わせなかった。やられたか!喜作は思った。