堀米庸三と札幌1

1東大の西洋史の教授だった堀米庸三先生(以下敬愛の気持ちは変わりませんが敬称は略します。というか恩師でもない人を取り上げるのは基本的に失礼なのかもしれないし、しかし何となく心ひかれるのは堀米先生が北海道を贔屓にしているのをやはりよしとする気持ちがあるからでしょうか。)が終戦直後に北海道大学の教官として約十年間勤めていたのを知る人は少ない。東大時代がある種の輝きを持って語られるのに比して札幌の十年間はまだ若く、それ故学者としては充電の頃であり、謂わばどんな研究者にもある転勤のよう扱われるからかもしれない。しかし先生の本を読むならこの堀米庸三にとって北海道札幌時代はあらゆる生活のアクションが激流の如く押し寄せ交錯した時代であったと思われ、そしてその周囲にあった北海道札幌の風景の描写に接するならそこでの自然に癒された青春の一刻であったと感ずるのは当然であり、当時を刻んだ文章の中には一枚の大作の自然の絵画が描かれてると感ずることしばしばである。北海道がある意味育てた有為な歴史家その当時のことを先生の本を頼りに綴りたいと思う。