息子の帰還1-3

ホテルにチェックインをし荷物を置いてすぐにハガキの住所を探しに外に出た。その日は霧が深くて前方百メートルほどしか前が見えないホテルからの坂道を降りてくとバス停のそばに椎茸の漬け物やがあった。そこに入って見るとメニューにおぜんざいと出ていた。其を注文した。最初少し時間がかかりますと言ったがその後30分掛かると店の女の人は訂正した。なんとなくぜんざいを待っている雰囲気でなくなった。僕はカウンターに近づきそこでハガキを取り出しその住所を示し確認しようとした。その店に偶々ZENRINの古い地図があった。それで彼の母親が書いてきた住所の一角を地図で見た。見るとその家の名前はなかった。いつ頃の地図か聞くと今から十年ほど前のZENRINの地図だった。そこにないとすると家族はもうその辺には住んでないんだろうと思った。少しがっかりした。詳しい事情は話さなかったが住所確認の際相手方もそのハガキの住所とともに内容を少し読んだみたいだった。母親からうちの事務所へのハガキというのが興味を引いたようだった。なければ現地に行ってみるしかない。バスの路線を教えて貰い店でなにも食べず外に出てそのバス停に向かおうとしたら店の人がバス停の位置は分かりにくいからと案内に一緒に出てきてくれた。また来たときに椎茸とか買いますと調子を合わせ彼女と別れた。バスは中々来なかった。30分ほどしてバスはきた。僕は彼女の言ったバス停で降りるべくバスに乗り込んだ。そのバスの停車する場所は原といった。店の人は原と書いてはると読むのですと教えてくれた。そのはるで僕はバスを降りた。