分かった。過去は再現できないものだ。人々の流れに与しよう

兄のことを考えるとこれだけは誰にも話せない感情がわくことがある。病気になって何回目かの外出日昔あった目黒の権之助坂の下の映画館で渥美清主演の例の映画の三本立てを見た。あの映画というのは名作ではなかろう。でもあの作品のどこかには時間が逆行していく箇所が何ヵ所かある。それは家族が気遣う所に多い。涙も伴う。そしてそれは今まで隠していた感情が爆発し炎の言葉を喋った後の悔悟の場面とか、その以前に家族が自分のことをそう思ってるのを知らずに自分自身から先に喋られてそれを責めんとした自分の不覚の場面とかに現れる。彼は言った「こんな不甲斐ない兄貴で申し訳ないな」一瞬全てが分かったのかと思ったけど、そんなに甘くはなかった。トラブルというものだってその当事者の一方が一方的に悩んでる訳でもないんだろ。最早話すことはない。過去の良い時代は再現できないと考えるべきだ。また元の流れに与して生きてくしかない。