野球受容史第一幕の2

学生B「はっはつは。な~にね偶々今度のゼミ生の名簿にこれはという人物を見つけたのだよ」

宮部「ゼミというと我々の植物の類分類のゼミかね。そういえば君は私から本年度入学の学生のなかでのゼミ志望者の名簿を借りていったな」

学生B「そうですとも。そのなかに偶々馬具屋のせがれというのがいた。名前は⭕木といったかな。其を見て閃いたんだ」

学生A「それが今回あの旭川までの道の美唄まで行って入っていったお店の息子さんかい」

学生B「うんそうとも。馬具には当然革がある。皮といっても厚手のものではない。でもそれを重ね合わせるとミット位できるのではなかろうか。そう思ってゼミ生に連絡をした、これこれこういう事情でこういう形のものを欲しいとね。」

学生A「それでその彼は親に連絡してくれた。」

学生B「上手いことにそうなった」

学生A「それにしてもおやじさんは随分君に丁重だったね」

学生B「それは宮部先生のお名前(ここまで言って口をおさえる)」

宮部「おいおいミット一つで我がゼミを軽んずるようなことをしては困るよ(と言いながらあまり咎めない口調で)それにしてもこのミットは良くできている。(とキャッチミットをポンポンと叩く)コードバンでは柔らかすぎやしないかと思ったがどうしてどんなスピードボールでも捕球していたくなる恐れはない」 

学生A「北海道中の名人が集まり野球具を作ってくれればこれで本州勢とも対抗できます。一高にだって道具の点では比毛をとらない。」

 

その時研究室のドアにノックの音がして扉を開け佐藤昌介学長が部屋に入ってくる。

 

宮部「おっこれはこれは総長。学生たちがつい大きな声を出しすぎまして」

佐藤「いやいいよいいよ。私もあるいててバット十勝ミットとかの話し声聞こえたのでね、まぁ研究の途中でもあるはまいとつい声をかけようとおもったまでだ」