島倉千代子のからたちの小径

死の何日か前の吹込みのこのからたちの小径は、絶唱というより息き絶え唱なのである。声は全く出ていない。歌詞の何箇所かには反応できてない。分かるとこだけが気持ち込められてる。それでも島倉はこの録音を残そうとしたのである。それは本人側でどう思おうと歌手としての行き着く過程の果までの全ドラマを歌って死のうとする強固な意思の現れだったのである。そういう総決算の心を持っているからこそ真の心の芸術家なのである。そして総決算のこころを持っていれば死などは怖くないのである。それが分かってる島倉千代子のこの歌振りにはそれ故感動しかないのである。涙がぽろりぽろぽろりなのである。