犬のモウショ2

モウショには右前足にハンデがあった。歩くときはそんなに目立たない。走ると右肩を落とすぎこちない走りになった。一生懸命に走るのは最初は見てておかしくてかわいいけど一緒に無理して走らなくてもいいよと抱き上げたくなる気持ちにさせた。妹は散歩しててもすぐ抱き上げようとした。妹にも同じようなハンデがありママはそれをとっても気にしてた。パパとの話で遺伝子でなく自分のお腹の中でできたこと、みたいな言い方をしてた時もあった。妹がモウショが捨てられてるのを見るに見かねたのはそんな気持ちの一つのつながりがあったのかもしれない。僕の好きな作家の村上春樹さん風に言えば人は少しの悔悟と少しの悔しさと、そして多少の罪と多少の罪滅ぼしのはざまで生きている。そんな首輪のようなものがつけられてる。それはいつまでも続くわけではないのだろう。そんな感じを受けたこともある。モウショはでも小さくて逞しくて可愛かった。モウショとの生活はその後約2年ほど続いた。そしてしばらくして来たあの夏で終わった。モウショは歩くのと花とそして妹が好きだったのだけど。