犬のモウショ3

パパは東京で建築家として勤めていたことがある。しかし身体を壊し、ママの実家がある北海道のこのある程度大きな町に移ってきた。ママの実家は昭和の初めから続いてる菓子屋だったけどお兄さんがおじいちゃんの跡を継いでいた。そしてここで妹は生まれた。生まれながらの右腕のハンデで保育園でも独りぼっちだったのだけどモウショを拾って育てるようになってから少しずつ明るくなっていった。パパは建築士なんて止めてママのお兄さんのお菓子やを手伝うようにママのお母さん、おばあちゃんからよく言われたらしいけどずっと断っていた。お兄さんはまだ結婚していなくて、或いはお兄さんの後は僕が継ぐみたいな話もあったようだが、僕は僕でお菓子やさんなんて嫌だった。僕はアニメ制作がしたかった。その為に東京にもう一度出たかったからもしかしたらパパには東京に戻ってもらいたくて、だからお菓子やさんのパパなんて想像したくもなかった。