犬のモウショ11

モウショがうちに来てそれから二年目の夏の始まりがきた。その年も二年前と同じく暑くなりそうな夏の到来だった。町には噂が流れていた。あの黒人の水兵が戻ってきているのだという噂が広がっていておばあちゃんとママとの間でもその話が出た。おばあちゃんの話では以前その水夫か水兵が一度お店にお菓子を買いに来たことがありおばあちゃんはその時応対した。その時はその人物はおとなしくて普通にお菓子を買っていったそうだ。そしておばあちゃんが確認したところではアフリカのフランスが支配していたなんとかいう地域の出身でお店の中にあるフランス菓子につけたフランス語の単語を巧みに発音したということだった。でもその水夫は何かの原因で船をおり、元のあの坂の上にある前すんでいた家で寝泊まりをしはじめたらしく、それで具体的に何ということはないが人たちの心配は何か厄介なことにならなけりゃいいのにという関心に注がれていた。ママにも僕らは注意されていた。おばあちゃんもその後のことを知っていたのできっと何か起こすと言っていた。