犬のモウショ5

僕らが移り住んでんきた北海道の町は坂の多い港街だった。町の中心のまっすぐな太い道を高く登り、振り返ると水平線が低くみえ、散歩に妹やモウショと出かけた時が夕刻だったりすると綺麗な夕陽が岩の間の海を赤く染めてることもあった。そんなとき妹はモウショの動きを気にしながらもじっと海を眺めていた。モウショもそのときはおとなしくしていた。僕の方からもう帰ろうか、ママも心配するし、と言っていつも帰るのだが一度妹がもう少し昇ろうと言って先に歩いていったことがある。

少し登ると小さなあばら家のような家があった。その時モウショが唸るような声を出した。その後もときた道でなく別な通りを通って帰ったのだけど、モウショが自分の声を出してる感じが僕は耳について離れなかった。妹は気にしてなかったようだけど。